教育訓練給付金は、失業中の人がスキルアップや再就職のために活用できる制度の一つです。適切に活用すれば、学費の負担を大幅に減らしながら新しいキャリアを築くことが可能です。しかし、申請ミスや要件の勘違いによるトラブルも多いため、制度の詳細をしっかり理解しておくことが大切です。
ここでは、教育訓練給付金の種類や申請方法、よくある間違いについて詳しく解説します。
教育訓練給付金とは?
教育訓練給付金は、厚生労働省が実施している制度で、雇用保険に加入していた人が資格取得やスキルアップのために教育機関で学ぶ際、費用の一部を支給する仕組みです。特に失業中の人にとっては、再就職を有利に進めるための支援として活用できます。
給付金には以下の2種類があります。
一般教育訓練給付金
- 指定された講座を受講し、修了すると、受講費用の**20%(上限10万円)**が支給される。
- 対象講座:簿記、医療事務、IT関連、英語、介護、宅建など幅広い分野。
- 受給条件:雇用保険の加入期間が1年以上(初回利用時は6か月以上)。
専門実践教育訓練給付金
- 受講費用の**最大70%(年間上限56万円×最長4年)**が支給される。
- 受講後に資格を取得し、1年以内に就職すると追加で20%(合計最大90%)支給。
- 対象講座:看護師、介護福祉士、保育士、プログラミング、建築士、調理師など専門性の高い職業資格。
- 受給条件:雇用保険の加入期間が2年以上(初回利用時は1年以上)。
申請方法と手続きの流れ
教育訓練給付金を受け取るには、以下の手続きが必要です。
事前準備(講座選びと条件確認)
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ハローワークで給付金の対象になるか確認
- 雇用保険の加入期間が基準を満たしているか確認。
- 失業中でも受給資格があるかチェック。
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対象の講座を検索
- 厚生労働省の公式サイトやハローワークで対象講座を確認。
- 「教育訓練給付制度 指定講座検索システム」で調べるのが便利。
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講座を申し込む
- 指定講座であることを確認し、教育機関に申し込む。
- 受講開始前に「受講前申請」が必要な場合もあるため注意。
受講から給付金申請まで
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講座を修了する
- 一定の出席率を満たし、必要な成績を収めることが条件。
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修了証明書をもらう
- 教育機関から修了証明書・領収書を受け取る。
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ハローワークで申請
- 受講終了後1か月以内に必要書類を提出。
- 申請から約1〜2か月後に給付金が振り込まれる。
よくあるトラブルと間違いやすいポイント
1. 雇用保険の加入期間が足りない
- 「退職前に1年以上加入していたはずなのに受けられない」となるケースがある。
- 直近の雇用保険加入期間だけでなく、過去の加入歴も合算できる場合があるため、ハローワークで確認を。
2. 申し込み講座が給付対象外だった
- すべての講座が対象ではなく、厚生労働省の指定を受けたもののみが対象。
- 「申し込んでから給付対象外と気づいた」という失敗が多いため、事前に講座の公式サイトやハローワークでチェックすることが必須。
3. 申請期限を過ぎてしまった
- 受講終了後、1か月以内に申請しないと給付金は受け取れない。
- 「すぐに働き始めて忙しくて申請を忘れた」というケースがあるので注意。
4. 出席率・成績要件を満たせなかった
- 一定の出席率を下回ると給付対象外になる。
- 「オンライン講座だから適当に受けていたら要件を満たせなかった」という人もいるため、受講態度には注意。
5. 受講前に必要な手続きを忘れていた
- 専門実践教育訓練給付金は受講開始前にハローワークで「受講前申請」が必要な場合がある。
- 事前手続きを忘れると給付金を受けられないため、必ず確認すること。
経験者からのアドバイス
実際に教育訓練給付金を活用した経験から、次のポイントを押さえておくとスムーズに進められます。
- 講座選びは慎重に!「とりあえず資格を取ろう」と考えて適当に選ぶと、後で「思っていたのと違った」と後悔することも。自分のキャリアプランに合った講座を選ぶのが重要。
- 事前にハローワークで相談すると安心。制度の細かいルールが多いため、早めに相談しておくと手続きの抜け漏れが防げる。
- 申請期限を必ず守る! 給付金をもらうには書類提出が必須なので、カレンダーにリマインダーを設定するなどして忘れないようにする。
- 再就職の計画を立てながら受講する。資格を取るだけでなく、就職にどう活かすかを考えておくと、より効果的にキャリアアップにつなげられる。
教育訓練給付金を上手に活用すれば、失業中でも新しいスキルを身につけ、再就職を有利に進めることができます。制度を正しく理解し、ミスなく申請して、前向きなキャリアチェンジを実現しましょう!