「短期間で退職したけど、雇用保険の給付金をもらえるの?」と気になる人は多いでしょう。基本的に雇用保険の給付金は、一定の条件を満たしていれば短期離職でも受け取ることができます。ただし、自己都合退職か会社都合退職かによって条件が異なり、間違った認識のままだと受給できないケースもあるので注意が必要です。
ここでは、短期離職でも受け取れる雇用保険の給付金の種類や受給条件、よくあるトラブルについて詳しく解説します。
短期離職でも受け取れる雇用保険給付金の種類
失業手当(基本手当)
最も代表的な雇用保険の給付金が「失業手当(基本手当)」です。一般的に「失業保険」と呼ばれるものですが、受給するには一定の加入期間が必要です。
受給条件
短期離職の場合、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
自己都合退職の場合
- 離職前の2年間で通算12カ月以上、雇用保険に加入していること(1カ月あたり11日以上勤務した月が対象)
- 2020年の特例措置により、5年間に通算12カ月以上の加入歴があればOK(自己都合でも適用)
会社都合退職の場合
- 離職前の1年間で6カ月以上、雇用保険に加入していること(自己都合より条件が緩い)
会社都合退職とは、倒産や解雇、雇止めなどで自分の意思ではなく退職するケースを指します。
再就職手当
短期離職後、失業手当の給付期間内に新しい仕事が決まった場合に支給されるのが「再就職手当」です。
受給条件
- 失業手当を90日以上受給できる人(短期離職でも対象になり得る)
- 1年以上継続して働く意思があること
- ハローワーク経由で就職活動をしていたこと
- 失業手当の給付残日数が3分の1以上残っていること
※短期間で転職する場合は、失業手当をもらわずに再就職手当を受給する方がお得になることもあります。
教育訓練給付金
短期離職後にスキルアップを目指すなら、「教育訓練給付金」が利用できる可能性があります。
受給条件
- 雇用保険の加入期間が1年以上あること(初回受給の場合)
- 厚生労働大臣が指定する講座(職業訓練・資格取得講座など)を受講すること
- 受講費用の20%~70%が給付される
短期離職でも1年以上加入していれば対象となるため、転職活動中にスキルを身につけたい人にはおすすめです。
短期離職でよくあるトラブルと間違いやすいポイント
「3カ月未満の勤務では失業保険はもらえない」は誤解!
短期間しか働いていないと「失業保険の受給資格がない」と思い込む人が多いですが、過去の勤務期間を合算できるケースがあります。
たとえば、以前1年以上雇用保険に加入していて、新しい会社で3カ月未満で辞めた場合、過去の雇用保険加入期間と合算すれば失業保険を受給できる可能性があります。
「退職理由によっては自己都合ではなく会社都合になる」
会社側が「自己都合退職」として処理した場合でも、以下の条件に当てはまると会社都合退職になることがあるので要注意です。
- 会社からの嫌がらせやパワハラがあった
- 給与の未払いが続いた
- 退職勧奨を受けた(退職を強く勧められた)
- 契約期間の途中で解雇された
会社都合ならば加入期間が6カ月以上あれば失業保険が受け取れるため、自己都合かどうかをしっかり確認することが重要です。
「失業手当はすぐにもらえるわけではない」
自己都合退職の場合、3カ月の給付制限期間があるため、失業手当がすぐには支給されません。ただし、以下の特例に該当すればすぐに受給できる可能性があります。
- 特定理由離職者(正当な理由のある自己都合退職)
- 就職困難者(障害者、母子家庭の母など)
※特定理由離職者に該当する場合は、ハローワークで認定を受ける必要があります。
まとめ
短期離職でも、失業手当・再就職手当・教育訓練給付金などの給付金を受け取れる可能性は十分にあるので、「どうせ無理だろう」と諦めるのはもったいないです。
ただし、会社都合か自己都合かで条件が大きく変わるため、退職理由の扱いを慎重に確認することが大切です。また、過去の雇用保険加入期間を合算できるケースもあるので、ハローワークで相談することをおすすめします。
「短期離職だから何ももらえない」と思い込まず、正しい知識を持って手続きを進めましょう。