フリーランスや個人事業主として働いていると、会社員とは異なり雇用保険に加入できません。そのため、失業した際に「失業保険(基本手当)」を受け取ることができず、生活の不安を感じることも多いでしょう。
しかし、フリーランスでも受けられる公的支援制度はいくつか存在します。本記事では、雇用保険に加入できないフリーランスが利用できる支援制度や、よくあるトラブル、間違えやすいポイントについて詳しく解説します。
フリーランスは雇用保険に加入できない?
そもそも雇用保険とは?
雇用保険は、労働者が失業した際に一定期間の給付を受けられる制度です。加入できるのは、雇用関係のある労働者(会社員やアルバイトなど)に限られ、フリーランスや個人事業主は基本的に対象外です。
フリーランスでも例外的に雇用保険に入れる?
原則としてフリーランスは雇用保険に加入できませんが、以下のようなケースでは例外的に加入している可能性があります。
- 以前、会社員として雇用保険に加入しており、フリーランスになる前に失業手当の受給資格を得ていた場合
- 会社員として働きながら、副業としてフリーランスをしている場合(本業の雇用保険は継続)
このようなケースに当てはまる場合は、ハローワークに確認するとよいでしょう。
フリーランスが受けられる公的支援制度
雇用保険の対象外であっても、フリーランス向けの支援制度は複数あります。
生活費を支える制度
1.生活福祉資金貸付制度
対象者: 低所得者や失業中の人
内容: 生活資金や一時的な出費を補助するための貸付制度(無利子または低金利)
申請窓口: 市区町村の社会福祉協議会
2.生活困窮者自立支援制度
対象者: 収入が少なく、生活が困難な人
内容: 相談支援、就労支援、家賃補助(住居確保給付金)など
申請窓口: 市区町村の福祉課
3.住居確保給付金
対象者: 収入が減少し、家賃の支払いが困難な人
内容: 一定期間(最大9か月)、家賃の一部を補助
申請窓口: 自立相談支援機関
仕事・収入を増やすための支援制度
④ 求職者支援制度(職業訓練給付)
対象者: 失業中で、雇用保険を受けられない人
内容: 無料で職業訓練を受講でき、一定条件を満たせば月10万円の「職業訓練受講給付金」を受け取れる
申請窓口: ハローワーク
⑤ 小規模事業者持続化補助金
対象者: 個人事業主・フリーランス
内容: ビジネスを成長させるための補助金(広告費、設備投資費などに使える)
申請窓口: 商工会議所・商工会
⑥ 失業後の創業支援(創業支援等事業者補助金)
対象者: 新たに事業を立ち上げる人
内容: 創業時の経費補助(法人設立費用、マーケティング費用など)
申請窓口: 中小企業庁・自治体
よくあるトラブル・間違えやすいポイント
雇用保険未加入なのに「失業手当をもらえる」と勘違い
フリーランスの人が「失業手当がもらえる」と思い込んで、ハローワークで申請しようとしても、原則として対象外となります。雇用保険は「雇用されている人」が対象のため、フリーランスには適用されません。
住居確保給付金の申請が遅れて受け取れなかった
住居確保給付金は、失業後すぐに申請しなければ受給対象外になることがあります。「仕事が見つかるかもしれない」と思って後回しにすると、申請期限を逃すこともあるため、早めの手続きが重要です。
生活福祉資金貸付制度を「誰でも借りられる」と思っていた
この制度は、低所得者向けの支援であり、一定の審査があります。また、自治体によって基準が異なるため、「どこでも必ず借りられる」わけではありません。
職業訓練受講給付金の「要件」を満たしていなかった
求職者支援制度を利用して月10万円の給付金をもらうには、ハローワークに求職登録をすることや毎月一定回数の求職活動を行うことなどの条件があります。要件を満たさずに申請すると、給付を受けられないため注意が必要です。
まとめ(経験者としての視点)
フリーランスとして働いていると、収入が不安定になりがちです。特に仕事が減ったり、事業がうまくいかなくなったりすると「雇用保険があれば…」と思うこともあるでしょう。
しかし、フリーランスでも利用できる支援制度を活用すれば、一定期間の生活費を確保しながら、新たな仕事を見つけたり、スキルを習得したりすることが可能です。
実際に私も過去にフリーランスとして活動しながら、職業訓練給付や補助金制度を利用しました。当時は「フリーランスは自己責任」と思い込んでいましたが、調べてみると意外と公的な支援が充実していることがわかりました。
大切なのは、「自分は対象外だろう」と思い込まずに、自治体やハローワークに相談することです。支援制度をフル活用しながら、次の仕事や新しいチャレンジにつなげていきましょう。