失業保険給付は、毎月1回の「失業認定日」に失業認定をしてもらうと、その3~4日後に指定の口座に振り込まれます。
失業保険は一日あたりの額が約1か月分まとめて給付される
この失業給付額は、月1回の振込なので、月額が決まっているものかと思う方もいるようです。
失業保険給付は、基本になる一日あたりの支給額をおよそ1か月分(だいたい28日計算)まとめて支給されるのです。
ですので、90日の支給日数であれば28日で割り切れない部分も出てきますので、支給額が1~2日分金額が上下することもあります。
一日当たりの支給額はどうやって決まるの?
一日あたりの支給日額は、退職する前6か月の給料の額で決まります。
退職したときに勤めていた会社から「離職票(1)、(2)」が発行されます。この「離職票(2)」には、今まで働いていた期間に支給された給与の額が、月別に記載されています。この支給された給与額を直近から6か月分さかのぼって合算します。
そして、6か月分の給与総額を180で割ります。働いていた時の1日あたりの給与額を計算するわけです。この賃金日額が、1日当たりの失業保険給付を算出するための素となる金額になります。
1.賃金日額が2,290~4,579円の方
賃金日額が2,290~4,579円の場合は、年齢に関わらず賃金日額の80%が一日当たりの失業手当の給付額になります。
賃金日額が4,580円以上になると、少し細かく区分されます。賃金日額と年代によって、計算式が分かれます。どれに当てはまるのか見てみましょう。
2.60歳未満で、賃金日額が4,580~11,610円の方
給付日額={(-3×賃金日額×賃金日額)+(賃金日額×69,980)}÷70.300
賃金日額が4,580~11,610円で、なおかつ年齢が60歳以上65歳未満を除くすべての年代に当てはまります。
ちなみに、65歳以上も同様の計算式になります。
3.60歳以上65歳未満で、賃金日額が4,580~10,460円の方
給付日額=計算式①または②のうち金額の少ない方
計算式①={(-1×賃金日額×賃金日額)+(賃金日額×18,020)}÷16,800
計算式②=(0.05×賃金日額)+4,184
こちらの計算式は、60歳以上65歳未満の年代のうち、賃金日額が4,580~10,460円の方に適用されます。
4.60歳以上65歳未満で、賃金日額が10,461~14,860円の方
給付日額=賃金日額×45%
賃金日額の45%が給付日額になるのは、60歳以上65歳未満の年代のうち、賃金日額が10,461~14,860円の方です。
5.30歳未満もしくは65歳以上で賃金日額が11,611~12,740円、30歳以上45歳未満で賃金日額が11,611~14,150円、45歳以上60歳未満で賃金日額11,611~15,550円の方
給付日額=賃金日額×50%
賃金日額の半分が給付日額になります。この場合、年齢と賃金日額の幅が少し複雑です。
30歳未満では賃金日額が11,611~12,740円の方。
30歳以上45歳未満では、賃金日額11,611~14,150円の方。
45歳以上60歳未満の年代は賃金日額11,611~15,550円までと大きく幅があります。
65歳以上は30歳未満と同じく賃金日額が11,611~12,740円の方になります。
60歳以上65歳未満の年代は「賃金日額×50%」というくくりがありません。
6.賃金日額が上記5までの範囲に当てはまらない方
給付日額=それぞれの年代の上限額
賃金日額が上記5までの範囲にあてはならない方は、支給日額がそれぞれの年代での上限額になります。
30歳未満であれば、賃金日額12,741円以上は上限額6,370円が支給日額になります。
30歳以上45歳未満は、賃金日額14,151円以上で上限額の7,075円、45歳以上60歳未満は賃金日額15,551円以上で上限額7,775円です。
60歳以上65歳未満は賃金日額14,151円以上の方が上限額6,687円となり、65歳以上では一番上限額の範囲が広く賃金日額12,741円以上の方が上限額6,370円の給付になります。
上限額について、表にまとめるとこのようになります。
年齢 | 賃金日額 | 給付日額 (支給上限額) |
30歳未満 | 12,741円以上 | 6,370円 |
30歳以上45歳未満 | 14,151円以上 | 7,075円 |
45歳以上60歳未満 | 15,551円以上 | 7,775円 |
60歳以上65歳未満 | 14,151円以上 | 6,687円 |
65歳以上 | 12,741円以上 | 6,370円 |
計算式を洗ってみると、賃金日額や年代によって差があり複雑なように感じますが、およそ退職前にもらっていた給与の半分程度、と思っていて間違いないです。
計算に使う賃金額は、「1か月に11日以上働いている月」のみ!
ここで、直近6か月のうち会社都合退職などでは1か月の勤務日数が少なく、給与の額が他の月より少ない場合もでてくるかと思います。この場合、その少ない額のまま計算してしまうと失業保険給付の一日当たりの金額が減ってしまいます。
しかし、失業保険給付額の計算には決まりがあり、賃金日額のもととなる「6か月分の給与」は「連続した6か月」でなくてもよいのです。
特に、6か月のうち、1か月の勤務日数が11日に満たない月があるときは、その勤務日数が少ない月を計算には入れません。その代わりに最大2年間までさかのぼって、現在に近い順に、1か月のうち11日以上勤務している月の給与額を使って計算します。
つまり、賃金日額の計算の仕方は、「直近6か月分の給与額を180で割った額」が基準なのではなく、「現在に近い順に1か月のうち11日以上勤務している月を6か月分合計した額を180で割った額」が基準なのです。
だいたい半月以上働いた月の給与額でないと、その人が貰っていた給与の一日当たりの額が正確に計算できなくなる、ということですね。