派遣社員でも雇用保険の給付金を受け取れることをご存じですか?「正社員だけの制度」と思われがちですが、一定の条件を満たせば派遣社員も対象になります。とはいえ、派遣ならではの注意点や、申請時の落とし穴もあります。本記事では、派遣社員が受けられる雇用保険の給付金について、具体的な内容や注意点を詳しく解説します。
派遣社員も対象!雇用保険の基本
雇用保険とは?
雇用保険とは、労働者が失業した際に一定の給付金を受け取れる制度です。派遣社員も雇用保険に加入していれば、失業時に「基本手当(失業手当)」を受け取れます。
派遣社員が雇用保険に加入できる条件
派遣社員も以下の条件を満たしていれば、雇用保険の対象になります。
- 1週間の所定労働時間が 20時間以上 である
- 31日以上の雇用見込みがある
- 派遣元(派遣会社)で雇用契約を結んでいる
つまり、 短期契約の派遣や、週の労働時間が少ない場合は対象外 になる可能性があります。
派遣社員が受けられる雇用保険給付金
失業手当(基本手当)
派遣社員が契約満了後に仕事がなくなった場合、一定の条件を満たせば「失業手当(基本手当)」を受け取れます。
【受給条件】
- 過去2年間で雇用保険の加入期間が 通算12カ月以上 ある(短期派遣などの場合、6カ月以上でも可)
- 派遣会社からの 契約更新の打診を断られた か、自ら辞退した場合でも正当な理由がある
- ハローワークに求職活動の意思を示し、積極的に就職活動を行っている
【給付額の目安】
給付額は、退職前6カ月間の平均給与の 50~80% ほどです。給与が低い人ほど給付率が高くなります。
【受給期間】
- 雇用保険の加入期間が 1年以上 の場合 → 90日~150日
- 45歳以上や障害を持つ方は、さらに長期間受け取れることもある
再就職手当
派遣社員でも、失業手当を受け取る前に早期に再就職すれば、「再就職手当」をもらえます。
【受給条件】
- 失業手当の給付日数が 3分の1以上 残っているうちに就職が決まる
- 1年以上継続する見込みのある仕事に就く
- ハローワーク経由での求職活動を継続していた
【給付額】
- 残りの失業手当の 60%~70% を一括支給
- 失業手当を受け取るより 早く就職するほどお得
教育訓練給付金
派遣社員も「教育訓練給付金」を利用し、スキルアップのための費用の一部を負担してもらえます。
【受給条件】
- 雇用保険の加入期間が 1年以上 ある
- 厚生労働省が指定する講座を受講する
【給付額】
- 受講費用の20%(最大10万円) を支給
キャリアアップを考えている派遣社員には、とても役立つ制度です。
派遣社員ならではのよくあるトラブル
短期契約で雇用保険に未加入
派遣社員は 契約が短期すぎると雇用保険に入れない ケースがあります。例えば、1カ月ごとの契約更新を繰り返していると、 「31日以上の雇用見込み」の条件を満たさない ことがあり、保険未加入のままになってしまうことも。
対策:
- 3カ月以上の契約を狙う
- 派遣会社に「雇用保険に入れるか?」を事前に確認する
契約終了後すぐに失業手当がもらえない?
派遣社員の場合、「契約期間が満了しただけ」では すぐに失業手当を受け取れない ことがあります。なぜなら、派遣会社は 次の仕事を紹介する義務 を負っているため、すぐに「失業状態」とは認められないからです。
対策:
- 派遣会社からの 新しい仕事の打診を待つ期間 があることを理解する
- 派遣会社の「仕事の紹介」を 断った場合、自己都合退職になるリスク がある
申請ミスで給付金を受け取れない
失業手当を受けるには、ハローワークでの手続きが必須です。 申請期限を過ぎると受け取れない ため、注意が必要です。
対策:
- 退職後 できるだけ早くハローワークへ行く
- 会社からもらう「離職票」を確認し、不備があれば派遣会社に修正を依頼する
まとめ
派遣社員だからといって、雇用保険の給付金を受けられないわけではありません。ただし、派遣ならではの 契約期間や雇用保険の加入条件 に注意しないと、申請できないこともあります。
ポイントまとめ:
- 週20時間以上&31日以上の契約 なら雇用保険加入対象
- 失業手当の申請は、派遣会社からの仕事紹介の有無が影響 する
- 早期就職なら「再就職手当」がもらえる ので、積極的に転職活動を!
- 派遣契約の更新や終了時に、雇用保険の条件を必ず確認する
雇用保険をしっかり活用して、失業期間を乗り切りましょう!