退職を伝えたら会社から「違約金」を請求された!対応方法とは

退職を申し出たところ、会社から「違約金を払え」と言われた――そんな状況に陥ったら、どうすればいいのでしょうか?

違約金の請求には法的な問題がある場合が多く、適切に対応すれば支払いを回避できることがほとんどです。

この記事では、会社から違約金を請求されたときの対処法や、よくあるトラブル、間違えやすいポイントについて詳しく解説します。

会社が退職者に「違約金」を請求するケース

会社が退職者に違約金を請求するケースには、以下のようなものがあります。

研修費用の返還請求

「会社が負担した研修費用を返せ」と言われるケースです。特に、資格取得や海外研修など、会社が費用を負担していた場合に起こりやすく、「○年間は退職しないこと」などの条件が付けられていることもあります。

契約書・誓約書を根拠とした請求

入社時や昇進時に、「○年以内に退職した場合は○○円を支払う」といった誓約書にサインさせられ、それを根拠に違約金を請求されるケースです。

会社都合による損害賠償請求

「突然辞めたことで損害が出た」として、違約金の名目で損害賠償を請求されるケースです。「取引先との契約が破談になった」「業務が回らなくなった」などを理由にされることがあります。

会社の違約金請求は法律的に有効なのか?

労働基準法に違反する可能性が高い

労働基準法第16条には、以下のように定められています。

使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

これは、「退職時に違約金を請求することは基本的に違法」という意味です。そのため、契約書や誓約書に「○年以内に辞めた場合、違約金を支払う」と書かれていたとしても、法的に無効になる可能性が高いです。

研修費用の返還請求が認められるケース

研修費用については、すべての請求が違法とは限りません。以下の条件を満たす場合、返還請求が認められる可能性があります。

  • 研修が「業務命令」ではなく、労働者の自由意志で受けたもの
  • 退職の有無に関係なく、自己負担する契約になっていた
  • 返還請求額が不合理ではない

ただし、多くの場合、会社側の請求は違法となるケースが多く、労働者が支払う必要はありません。

会社から違約金を請求されたときの対応方法

まずは契約書や誓約書を確認する

退職時に違約金を請求された場合、まずは「本当にそのような契約があるのか?」を確認しましょう。会社が「契約に書いてある」と言っても、実際には法的に無効な内容であることが多いため、鵜呑みにしないことが大切です。

退職の自由を主張する

日本では「労働者には退職の自由がある」と法律で認められています。民法627条により、退職の申し出をしてから2週間経過すれば、会社の同意がなくても退職できる ため、会社が認めないと言っても問題ありません。

「労働基準法違反の可能性がある」と伝える

会社が違約金を請求してきた場合、「労働基準法16条に違反する可能性があるのでは?」と指摘すると、撤回されることが多いです。会社側も法的に不利な立場になることを嫌がるため、強気に対応しましょう。

証拠を残す

違約金の請求をされた場合、メールや録音などの証拠を残しておきましょう。後から法的措置を取る場合や、労働基準監督署に相談する際に役立ちます。

労働基準監督署や弁護士に相談する

会社が違約金を強く要求してくる場合は、労働基準監督署や労働問題に詳しい弁護士に相談 しましょう。違法な請求をされていることが明確であれば、会社に対して是正指導が入ることもあります。

よくあるトラブルや間違えやすいポイント

会社の言いなりになって支払ってしまう

「会社に請求されたから仕方ない」と考えて支払ってしまうと、後から取り戻すのが難しくなります。一度払ってしまう前に、必ず法律の専門家に相談することが重要 です。

退職を引き伸ばされる

違約金の請求と合わせて、「辞めるなら○○円払え」「支払うまで退職を認めない」などと言われるケースがあります。しかし、民法627条により、退職届を提出して2週間経過すれば、会社の同意がなくても辞められる ため、違約金の話とは切り離して手続きを進めましょう。

研修費用の請求を拒否して訴えられることを恐れる

「拒否すると訴えられるのでは?」と不安になるかもしれませんが、会社が違約金請求の訴訟を起こすことはほとんどありません。なぜなら、労働基準法違反のリスクが高く、会社側に不利になる可能性が高い からです。

まとめ

退職時に違約金を請求された場合、多くのケースでは違法であり、支払う必要はありません。「法律的に問題があるのでは?」と指摘するだけで、会社が請求を引っ込めることも珍しくありません。また、最初から弁護士や労働基準監督署に相談することで、スムーズに解決できることもあります。

大切なのは、会社の言いなりにならず、法律に基づいて冷静に対応すること です。もし不安な場合は、専門家に相談しながら対処しましょう!

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