失業保険の給付日数は、勤続年数にもよりますが、会社の辞め方によって給付日数が変わってきます。(参考:給付日数一覧表)
表には、「一般の受給資格者」と「特定受給資格者」がありますが、これはいわゆる「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いです。
特定受給資格者の方が手厚い給付となっているのは、会社都合による退職(倒産、解雇などによる退職)だからです。
受給要件が緩和されています
倒産、解雇などによる離職者の場合は、離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が6ヶ月以上であれば受給資格を得られます。
一般の受給資格者だと、離職の日以前2年間で12ヶ月以上ですから、単純に半分の期間で受給資格を満たします。
倒産、解雇以外でも特定受給資格者に該当することがあります
倒産や解雇の他、給料の遅配(2ヶ月分以上)や残業時間が多すぎた(3ヶ月連続で45時間以上)等の理由で会社を辞めた場合は、特定受給資格者に該当するケースがあります。
例えば、「残業だらけのブラック企業を退職した、けど雇用保険の加入期間が12ヶ月に満たない」といった場合は、特定受給資格者の要件をチェックしてみましょう。
特定受給資格者の要件
「倒産」等により離職した者
- 倒産(破産、民事再生、会社更生等の各倒産手続の申立て又は手形取引の停止等) に伴い離職した者
- 事業所において大量雇用変動の場合 (1か月に30人以上の離職を予定) の届出が されたため離職した者及び当該事業主に雇用される被保険者の3分の1を超える者が 離職したため離職した者
- 事業所の廃止 (事業活動停止後再開の見込みのない場合を含む。)に伴い離職した者
- 事業所の移転により、 通勤することが困難となったため離職した者
「解雇」等により離職した者
- 解雇 (自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇を除く。)により離職した者
- 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者
- 賃金 (退職手当を除く。) の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2か月以上となったこと等により離職した者
- 賃金が、 当該労働者に支払われていた賃金に比べて85%未満に低下した (又は低下することとなった) ため離職した者 (当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る。)
- 離職の直前3か月間に連続して労働基準法に基づき定める基準に規定する時間 (各月45時間) を超える時間外労働が行われたため、 又は事業主が危険若しくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険若しくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者
- 事業主が労働者の職種転換等に際して、当該労働者の職業生活の継続のために必要な配慮を行って いないため離職した者
- 期間の定めのある労働契約の更新により3年以上 引き続き雇用されるに至った場合において当該労働契約が更新されないことと なったことにより離職した者
- 期間の定めのある労働契約の締結に際し当該労働契約が更新されることが明示された場合において当該労働契約が更新されないこととなったことにより離職した者(上記7に該当する場合を除く。)
- 上司、 同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者及び事業主が職場におけるセクシュアルハラスメントの事実を把握していながら、雇用管理上の措置を講じなかったことにより離職した者
- 事業主から直接若しくは間接に退職するよう勧奨を受けたことにより離職した者 (従来から恒常的に設けられている 「早期退職優遇制度」 等に応募して離職した場合は、 これに該当しない。)
- 事業所において使用者の責めに帰すべき事由により行われた休業が引き続き3か月以上となったことにより離職した者
- 事業所の業務が法令に違反したため離職した者
このように、倒産、解雇の他、給与の遅配、残業、セクハラなどによる退職も対象になっています。