失業した後、ハローワークから受け取る「失業手当」(基本手当)。これが税金の対象になるのか、確定申告は必要なのか、疑問に思う人は多いでしょう。本記事では、失業手当の税金の仕組みをわかりやすく解説し、よくある勘違いや注意点も紹介します。
失業手当は課税対象なのか?
失業手当は「非課税所得」
結論から言うと、失業手当は非課税所得 です。つまり、所得税や住民税はかかりません。
これは、失業手当が「労働の対価としての収入」ではなく、「失業中の生活を支援するための公的給付」として支給されるためです。
根拠:所得税法第9条(非課税所得の規定)
所得税法では、失業手当は「非課税」と明確に定められています。そのため、確定申告や年末調整の際にも、給与やその他の所得として申告する必要はありません。
住民税もかからない
所得税と同様に、住民税も失業手当にはかかりません。そのため、失業手当を受け取っているだけなら、住民税の支払いが発生することはありません。
失業手当と確定申告の関係
失業手当だけなら確定申告は不要
失業手当は所得に含まれないため、失業手当のみを受給している場合は確定申告の必要はありません。これは、扶養に入る場合の「合計所得48万円以下」という基準にも影響を与えません。
確定申告が必要になるケース
ただし、失業手当をもらっていても、次のような場合は確定申告が必要になることがあります。
1. 失業手当以外の収入がある場合
- アルバイトや副業での収入
- 失業手当を受けながら株式売買や不動産収入がある場合
これらの収入が年間で20万円を超えると、確定申告が必要です。失業手当とは別に、これらの所得に対して課税されます。
2. 退職金を受け取った場合
退職金には「退職所得控除」が適用されますが、それを超える部分には税金がかかります。特に、会社から「一時所得」として退職金が支給された場合、確定申告が必要になることがあります。
3. ふるさと納税をした場合
ふるさと納税を利用している場合、収入が給与所得ではなくなっているため、ワンストップ特例制度が使えません。そのため、ふるさと納税の申告が必要になります。
よくあるトラブルや勘違い
失業手当が「扶養の所得制限」に影響する?
影響しません。 失業手当は所得に含まれないため、配偶者控除や扶養控除の判定に影響を与えません。扶養の条件として「年間所得48万円以下」という基準がありますが、失業手当はカウントされないため、たとえ多額の手当を受け取っていても扶養に入ることができます。
失業手当をもらっているのに住民税の請求が来る?
失業手当自体には住民税はかかりませんが、前年の収入に対する住民税が翌年に請求される ため、失業中でも住民税を払わなければならないケースがあります。これを知らずにいると「無職なのに税金が発生するのはおかしい!」と混乱する人も多いです。
失業手当をもらいながら副業をするとバレる?
失業手当の受給中に副業をすると、ハローワークに申告しなければならない ルールがあります。申告せずに収入を得ていると、不正受給とみなされ、最悪の場合、受給停止や返還命令が出されることもあります。特に、確定申告をして副業収入を申告すると、自治体がそれを把握する可能性が高く、不正受給が発覚しやすくなります。
まとめ
失業手当は非課税なので、受け取った金額をそのまま生活費に充てることができます。ただし、次のポイントには注意が必要です。
- 失業手当は「所得」ではないため、所得税・住民税はかからない
- ただし、前年の収入に対する住民税は失業中でも請求される
- 失業手当だけなら確定申告は不要だが、退職金や副業収入がある場合は要注意
- 扶養に入る場合、失業手当は所得にカウントされない
- 失業手当受給中の副業は必ずハローワークに申告すること
失業中はお金の管理が重要になります。手元にあるお金をどのように使うか、税金や支払いのスケジュールを把握しておくことで、不安を減らすことができます。特に「前年の住民税の支払いがある」という点を忘れず、資金計画を立てることが大切です。