会社を退職した後、国民年金の支払いをどうすればよいのか不安に思う人は多いです。特に無職期間が続くと「支払いが厳しい」「未納になるとどうなる?」と悩むことも。そこで、退職後の年金の基本と、負担を軽くする免除・猶予制度の活用方法を詳しく解説します。
退職後の年金の基本
会社員時代の厚生年金と退職後の変化
会社員時代は、給与から自動的に厚生年金が引かれ、会社も半分負担してくれていました。しかし、退職すると厚生年金の加入資格を失い、自分で国民年金の手続きをする必要があります。
- 厚生年金(会社員・公務員)→退職後は資格喪失
- 国民年金(自営業・無職など)→自分で加入手続きが必要
特に、退職後に無職の期間がある場合、国民年金の保険料(令和6年度で月額16,980円)の支払いが負担になることもあります。その場合、免除・猶予制度を活用すれば、支払いの負担を減らせる可能性があります。
国民年金の免除・猶予制度とは?
国民年金の免除・猶予制度は、収入が少ない人や無職の人の負担を軽減するための制度です。以下の2種類があり、それぞれ条件やメリットが異なります。
国民年金の「免除制度」
免除制度は、収入が少ない人が申請することで、年金保険料の一部または全額の支払いを免除できる制度です。免除の種類は4段階あります。
免除の種類 | 支払う金額 | 将来の年金額に反映される割合 |
---|---|---|
全額免除 | 0円 | 2分の1 |
3/4免除 | 約4,245円 | 8分の5 |
半額免除 | 約8,490円 | 4分の3 |
1/4免除 | 約12,735円 | 8分の7 |
※金額は令和6年度の国民年金保険料(16,980円)で計算
免除の条件
- 前年の所得が一定以下(扶養人数によって基準が異なる)
- 失業した場合は所得条件を満たさなくても申請可能
免除を受けた期間は「年金をもらえる受給資格期間」にカウントされ、将来の年金額にも一部反映されます(未納とは違う)。
国民年金の「納付猶予制度」
納付猶予制度は、50歳未満の人が「今は払えないけれど、将来払う意思がある」場合に利用できます。
納付猶予のメリット・デメリット
メリット
- 免除と同じく「受給資格期間」にカウントされる
- 将来、10年以内ならさかのぼって支払うことができる
デメリット
- 猶予期間中の分は、払わないと将来の年金額に反映されない
- 追納しないと、老後の年金が減る可能性がある
猶予の条件
- 50歳未満であること
- 前年の所得が一定以下
免除・猶予の申請方法
申請に必要なもの
- 年金手帳または基礎年金番号がわかるもの
- 退職したことを証明する書類(離職票・雇用保険受給資格者証など)
- 収入が確認できる書類(確定申告書・住民税の課税証明書など)
申請場所
- 市区町村役場の年金窓口
- 年金事務所(日本年金機構)
郵送申請も可能なので、忙しい人や遠方の人は利用するとよいでしょう。
申請期限
免除・猶予の申請は「申請した月の2年1か月前までさかのぼれる」ので、過去に未納になった期間も救済できる可能性があります。
よくあるトラブルと間違えやすいポイント
免除と未納を混同してしまう
「払わなくてもいいならそのまま放置でOK」と勘違いしがちですが、未納のままだと受給資格期間にカウントされず、将来年金がもらえなくなる可能性があります。必ず免除や猶予の申請をすることが重要です。
免除・猶予を申請し忘れてしまう
「そのうち手続きしよう」と思っているうちに、未納期間が長くなってしまうことがあります。申請は早めに済ませましょう。
退職したのに免除が通らないケース
失業中でも「前年の収入が多い」と免除が認められないことがあります。その場合、退職証明書を提出すると審査が通ることがあるので、忘れずに用意しましょう。
追納しないまま10年が過ぎる
猶予期間の分は10年以内なら追納できますが、それを過ぎると払えなくなり、将来の年金額に影響します。「猶予を受けたら、余裕ができたときに早めに追納する」ことが大切です。
経験者から一言
私自身、退職後に「年金の支払いが厳しい」と感じ、免除制度を利用しました。その際、「失業した証明を提出するだけで免除が通りやすくなる」ことを知り、手続きをスムーズに進めることができました。
また、後になって猶予を受けた分を追納しようとしたとき、「一括で払うのがきつい」と感じたので、計画的に少しずつ納めることの重要性を痛感しました。
これから退職する人や無職期間がある人は、「未納にしない」「申請を忘れない」「将来の追納を見越して計画を立てる」ことを意識すると、不安を減らせると思います。
年金は老後の生活に直結する大事な制度です。今の状況に合わせて、無理のない方法を選びましょう。