生活困窮者自立支援制度とは、収入が減少して生活に困っている人が、自立して生活を立て直せるように支援する制度です。生活保護の一歩手前の段階で利用できることが特徴で、金銭的な支援だけでなく、就労支援や住居支援など幅広いサポートを受けられます。
対象となる人
以下のような状況にある人が対象となります。
- 失業や病気などで収入が減り、生活に困っている人
- 住む場所がなくなる恐れがある人
- 仕事を探しているが、なかなか就職できない人
- 家計管理ができず、生活が立ち行かなくなっている人
- 社会的に孤立し、支援が必要な人
収入や資産の状況によっては、生活保護と併用することも可能です。
生活困窮者自立支援制度の支援内容
生活困窮者自立支援制度では、主に以下の7つの支援が受けられます。
自立相談支援
専門の相談員が生活の悩みを聞き、適切な支援につなげる窓口です。収入が減って困っている、仕事が見つからない、住む場所がないなど、幅広い相談が可能です。
住居確保給付金
収入が減少し、家賃を払えなくなった人を対象に、一定期間(原則3か月、最大9か月)、家賃相当額を支給する制度です。支給額は地域の家賃相場によって異なります。
対象者の条件
- 失業や収入減により家賃の支払いが困難
- 世帯収入が一定額以下
- 資産が一定額以下
- 求職活動を行っている
就労準備支援
長期間働いていない人や、すぐに働くのが難しい人に対し、仕事に向けた準備(生活習慣の改善や職場体験など)を支援する制度です。
就労訓練(中間的就労)
一般の職場で働くのが難しい人向けに、福祉的な支援のある職場で訓練を受ける制度です。作業所やNPO法人などと連携し、社会復帰のためのステップを踏めます。
家計改善支援
家計管理が苦手な人や、多重債務で生活が立ち行かない人向けに、専門家が家計の見直しや債務整理の相談に応じます。
生活支援(学習支援・社会参加支援)
ひきこもりの人や、社会とのつながりが希薄な人向けに、コミュニティ活動への参加を促す支援もあります。また、子どもがいる世帯向けに学習支援が行われる場合もあります。
申請方法
申請窓口
各自治体の福祉課、または社会福祉協議会に相談することが第一歩です。地域によっては「生活困窮者自立支援センター」が設置されており、そこで手続きを進められます。
申請に必要な書類
申請時には以下の書類を求められることが多いです。
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 収入がわかるもの(給与明細・年金通知書・失業手当の通知書など)
- 資産状況がわかるもの(通帳のコピーなど)
- 住居確保給付金を申請する場合は賃貸契約書
自治体によって異なる場合があるので、事前に確認しておきましょう。
よくあるトラブル・間違えやすいポイント
収入制限にひっかかる
住居確保給付金などの支給には、一定の収入・資産制限があります。「少し収入があるから大丈夫」と思っていても、基準を超えると対象外になることがあります。事前に確認が必要です。
申請できることを知らずに困窮が進む
この制度の存在を知らず、ギリギリまで我慢してしまうケースが多くあります。生活が厳しいと感じたら、早めに相談することが大切です。
仕事を探さないと支給が打ち切られる
住居確保給付金を受け取る場合、求職活動の報告が義務付けられています。報告を怠ると支給が打ち切られることがあるので注意しましょう。
相談窓口によって対応が違う
自治体や担当者によって、支援の案内が異なることがあります。「以前相談したけどダメだった」と諦めず、別の窓口にも相談するのがポイントです。
まとめ
生活困窮者自立支援制度は、生活が厳しくなった人を支える大切な制度ですが、意外と知られておらず、活用できていない人も多いです。
特に「何から始めたらいいかわからない」「一人で解決できる自信がない」という場合は、まずは自治体の窓口で相談することをおすすめします。すぐにお金がもらえるわけではなくても、支援につながる第一歩になります。
「もう少し頑張ればなんとかなる」と思ってしまいがちですが、我慢しすぎると状況は悪化します。早めの相談が、生活を立て直す大きな助けになるので、ぜひ活用してください。