フリーランスが利用できる公的支援制度

フリーランスは雇用保険に加入していないため、会社員のように「失業手当(基本手当)」を受け取ることができません。しかし、収入が途絶えた際に利用できる支援制度はいくつか存在します。本記事では、フリーランスが利用できる支援制度を詳しく解説し、よくあるトラブルや間違いやすいポイントも紹介します。

フリーランスが利用できる公的支援制度

生活費を支援する制度

生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金・総合支援資金)

収入が激減し、生活費が苦しくなった場合に利用できる貸付制度です。無利子または低金利で借りることができ、条件によっては返済免除となる場合もあります。

ポイント

  • 緊急小口資金:一時的な資金(最大10万円~20万円)を借りられる
  • 総合支援資金:生活再建のために3ヶ月分の生活費を借りられる(単身の場合は月15万円、世帯は月20万円が上限)
  • 申請窓口は社会福祉協議会

間違えやすい点

  • 審査に時間がかかるため、すぐには受け取れない(2週間~1ヶ月かかる場合も)
  • 貸付制度なので返済義務がある(ただし、一定条件で返済免除の可能性もあり)

生活保護

一定の条件を満たせば、生活保護を受けることも可能です。フリーランスの場合、廃業しているかどうか、資産の有無などが審査されます。

ポイント

  • 生活費だけでなく、医療費や住居費も支援対象になる
  • 申請は各自治体の福祉事務所で行う

間違えやすい点

  • 生活保護を受けると事業を続けるのが難しくなる(原則として収入を得るための活動は制限される)
  • 資産があると申請が通らない(一定額以上の預金、持ち家などがある場合)

住居費を支援する制度

住居確保給付金

収入が減少し、家賃の支払いが難しくなった場合に、自治体が一定期間(3ヶ月~最長9ヶ月)、家賃を補助してくれる制度です。

ポイント

  • 支給額は自治体ごとに上限が決まっている(都市部の方が高め)
  • ハローワークでの求職活動が必要

間違えやすい点

  • 事前に家賃を滞納していると対象外になる(支払い能力が完全にない状態ではなく、あくまで「支援を受けながら求職する人」が対象)
  • 申請後に求職活動の報告を怠ると支給が打ち切られる

医療費・税金・社会保険の負担を減らす制度

国民健康保険料の減免制度

収入が大幅に減った場合、国民健康保険料の減免を申請できる場合があります。自治体によって条件は異なりますが、前年所得の大幅な減少が基準となることが多いです。

ポイント

  • 減免額は自治体ごとに異なる(最大で全額免除になることも)
  • 減免の申請は自分から行う必要がある(自動適用ではない)

間違えやすい点

  • 申請しないと通常の金額が請求される
  • 確定申告をしていないと審査が通りにくい(収入減少を証明できないため)

国民年金の免除・猶予制度

国民年金の保険料が支払えない場合、全額免除・一部免除・納付猶予を申請できます。将来の年金額に影響しますが、未納のままよりは免除・猶予を申請した方が有利です。

ポイント

  • 免除期間も年金の受給資格期間にカウントされる
  • 後から追納することも可能(10年以内なら)

間違えやすい点

  • 未納と免除は違う(未納だと年金受給資格が減るが、免除なら資格は維持される)
  • 猶予の場合、将来の年金額は減る(ただし、追納すれば補える)

フリーランス向けの独自支援制度

小規模企業共済の失業時の活用

フリーランスや個人事業主向けの「小規模企業共済」に加入している場合、事業を廃業すると掛金に応じた共済金を受け取れる仕組みがあります。

ポイント

  • 掛金は全額所得控除(節税効果がある)
  • 廃業後にまとまったお金が受け取れる

間違えやすい点

  • 掛金を払っていないと当然ながら受け取れない
  • 長期間加入していないと受取額が少ない

よくあるトラブル・間違えやすいポイント

  • 「フリーランスでも失業手当がもらえる」と勘違いする
    • 雇用保険に未加入のフリーランスは、通常の失業手当(基本手当)は受給できません。
  • 申請期限を逃す
    • 住居確保給付金や健康保険の減免などは期限があるため、早めに申請が必要です。
  • 収入がゼロでも確定申告しないと支援が受けられないことがある
    • 収入の減少を証明するため、確定申告をしておくことが重要です。

まとめ

フリーランスとして働いていると、「自分には失業保険がない」と諦めてしまいがちですが、公的支援制度を活用すれば、収入が途絶えた際のダメージを軽減できます。特に、住居確保給付金や国民健康保険の減免制度などは知らないと損する制度です。

また、失業したからといって何もせずにいるのではなく、この期間をスキルアップや副業のチャンスとして活かすことも重要です。特に、オンラインでできる仕事や職業訓練を受けることで、再スタートを切る準備ができます。

状況が厳しくなってから動くのではなく、早めに情報収集し、利用できる制度をフル活用していきましょう。

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