開業届を出していても失業保険をもらう方法!?「失業の状態」になれば開業していても失業保険をもらえる!?

勤めていた会社を退職して、フリーランスや副業を本業にして働きたいと思った場合、やはり気になるのは「失業保険がもらえるかどうか?」ですよね。

いまやサラリーマンでも、副業ながらも開業届を提出し個人事業主となっている人も少なくありません。そんなサラリーマン兼個人事業主をしている人は、会社を辞めた際に失業保険はもらえるのでしょうか?

結論から言うと、開業届を出して個人事業主をしている人は、いくら長い期間雇用保険に加入して雇用保険料を支払っていても、失業保険はもらうことができません

失業保険は「失業の状態」にある人だけがもらえる

「個人事業主になっている=事業主として仕事をしている」ということになります。仕事をしているのですから、失業の状態とは言えません。

失業保険をもらうためには「失業の状態」であることが必須要件です。「失業の状態」でない限り、失業保険の受給資格を得ることができないので、個人事業主は失業保険をもらえない、ということになります。

仮に、個人事業主としての事業収入が少なかったり赤字であったとしても、事業主である以上は仕事をしていることになるので、収入の多寡は関係なく、失業保険は支給されません。

個人事業主が「失業の状態」になることもある!?

サラリーマンが副業で個人事業主として開業していた場合あっても、失業保険をもらうことが絶対にできないというわけではありません。

ただ、そのための条件として、会社を退職すると同時に個人事業主でもなくなる、つまり個人事業主も廃業すれば、「仕事がない=失業状態」になれるので、失業保険をもらうことができるのです。(但し、個人事業主の方が軌道に乗っていて、廃業した場合のデメリットの方が大きい場合、この方法はおすすめしません。)

一般的には、勤めている会社を退職する1日前までに「青色事業廃業届」を受理してもらい、事業を廃止してしまえば問題はないと言われています。なぜ1日前かというと、退職と同じ日に廃業届を提出すると、失業保険をもらうために収入のある事業を廃止したとみなされてしまい、不正受給の懸念から受給資格をはく奪されることが予想されるからです。

また、個人事業主としての収入を隠したり、収入が少なくても廃業をせずに失業保険を受給してしまうと、不正受給となります。そうなると、支給金額の返還と追徴金とで支給された額の3倍の額を支払わなければなりません。

事業主であることを隠して不正受給をするくらいなら、いったん事業を廃止して失業保険受給後に新たに開業するのが無難でしょう。

開業届を出して事業を開始している場合は、相応の収入がある場合が多いのではないでしょうか。、となると、失業保険の受給額よりも事業収入の方が金額が多いでしょうから、失業保険を受給する必要がない人がほとんどかもしれません。

しかし、事業の収入が乏しく、失業保険をもらわないと生活が成り立たないくらいであれば、いったん個人事業を廃業して失業保険を受給しながら、また新たに事業計画を見直した上で、再度開業するかを見定めるのも1つの手です。

開業届を出すと「再就職手当」が支給されることも!?

失業保険をもらうためには、個人事業主であることをやめなければなりませんが、失業状態から開業届を提出すると「再就職手当」が支給されることもあります。

「再就職手当」とは、失業保険の基本手当の受給中に再就職が決まった人に対し、残りの失業保険の給付額に応じた手当金が支給されるものです。

再就職手当の受給要件と注意点

「再就職手当」をもらうには、「給付制限期間を含めた受給期間のうち再就職する日の1日前までに、受給期間の残り日数が1/3以上残っている」、という条件に当てはまらなければなりません。

例えば、受給期間が90日あるとしたら、その受給日数が残り30日になる前に開業届を提出して個人事業主になれば「再就職手当」がもらえる算段となります。

但し、自己都合退職で3ヶ月の給付制限がある場合は、そのうちの1ヶ月を過ぎてから開業するようにしましょう。

再就職手当には、「給付制限中の最初の1ヶ月は、ハローワーク経由の求人で就職した場合に限り、再就職手当が出る」という条件があります。自分で開業するということは、ハローワーク経由で就職したものではないので、1ヶ月を過ぎてからじゃないと再就職手当の対象になりません。ここは注意が必要です。

ちなみに、起業や開業の場合、受給期間の残りの日数の計算は、開業届を提出する「1日前」までの残り日数で数えられます。「今日で残り30日だから明日提出しよう」では、開業前日までに残っている受給日数は29日となり、条件から外れてしまうので注意しましょう。

開業準備はしてもいいの?

起業や開業したい場合は、失業保険期間中の求職活動とみなしてくれる場合があります。予めハローワークにお伺いを立ててみましょう。

OKであれば、その後の「再就職手当」の申請までの流れも案内してもらえるでしょう。

開業による再就職手当

開業による「再就職手当」に申請は、通常の「再就職手当」の申請に必要な書類の他に「開業届のコピー」や「事業所の実在が確認できる書類」(株式であれば登記、ネット事業であればサイトの画面をプリントアウトすればよい)を提出します。

但し、起業・開業の準備は、給付制限期間が始まってから1ヶ月以上経過した後がおすすめです。あまりにも準備や開業が早いと、計画的に失業保険や再就職手当をもらうための行動だと思われてしまうことがありますし、

開業の場合は、そもそも1ヶ月以上経ってからじゃないと再就職手当の対象にならないのですから、それより早くに表立って動いてしまうのは、得策ではありません。

また、「再就職手当」受給後すぐに廃業をしてしまうと「再就職手当」の不正受給とみなされ、手当の返還や追徴金が発生する可能性があります。手当目的の開業はリスクが高いのでやめましょう。

あれこれと欲張らず、もらえるものをきっちりもらおう

サラリーマンを退職して、フリーで仕事をすることに興味がある方は、失業保険のもらい方にも気を配りましょう。受給資格を得ながら開業準備をするのは、一歩間違うと不正受給のリスクも伴います。

失業保険も再就職手当も・・・と欲張らず、将来的にプラスになるようにしっかりと計画を立てて起業しましょう。

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