契約社員や派遣社員などの有期雇用契約で働いていた場合、契約の更新がなくなったときに「雇用保険の給付を受けられるのか?」と不安になる人は多いでしょう。ここでは、契約満了で失業した場合の雇用保険の基本情報や、よくあるトラブル、手続きのポイントを詳しく解説します。
契約満了による失業は「自己都合」か「会社都合」か?
雇用保険の基本ルールとして、失業給付(基本手当)を受け取る際には「離職理由」が重要になります。契約満了の場合、自己都合と会社都合のどちらに分類されるかで給付開始時期や給付期間が大きく変わります。
会社都合と判断されるケース
契約満了による離職でも、以下のような場合は「会社都合」として扱われます。
- 会社側が「契約更新の可能性がある」としていたのに、更新されなかった場合
- これまで契約が更新され続けていたのに、急に打ち切られた場合
- 会社の都合(経営不振・事業縮小など)で契約が終了した場合
- 会社が契約更新を約束していたのに、一方的に拒否された場合
「会社都合」と判断されると、待機期間(7日間)のみで、すぐに失業給付が支給されるというメリットがあります。また、給付期間も「自己都合退職」より長くなるケースが多いです。
自己都合と判断されるケース
以下のような場合は、「自己都合退職」と見なされる可能性が高くなります。
- 自分から「契約更新を希望しない」と申し出た場合
- 契約書に「更新なし」と明記されており、会社側もそれを遵守している場合
- もともと契約更新がない仕事(短期契約、臨時職など)だった場合
「自己都合」となると、原則として3カ月の給付制限が発生し、その間は失業給付を受け取れません。
失業給付を受けるための手続き
契約満了で失業した場合、スムーズに雇用保険の給付を受けるために、以下の手続きを進めましょう。
1. 会社から「離職票」を受け取る
退職時に、会社から「離職票(離職票-1と離職票-2)」を発行してもらいます。この書類には「離職理由」が記載されるため、会社側の記載内容を必ず確認しましょう。
ポイント:離職理由をチェック!
- 「会社都合」であるべきなのに、「自己都合」と記載されていないか?
- 更新の可能性があったにもかかわらず、「契約満了」として処理されていないか?
もし記載内容に納得できない場合は、ハローワークで相談し、「異議申し立て」 を行うことができます。
2. ハローワークで求職申し込みをする
離職票を持ってハローワークへ行き、「求職の申し込み」と「失業保険の申請」を行います。ハローワークでは「雇用保険説明会」に参加する必要があり、そこで今後の流れや必要な手続きが説明されます。
3. 7日間の待機期間がある
申請後、まず7日間の待機期間があります。この間にアルバイトをすると待機期間が延びる可能性があるため、注意しましょう。
4. 失業認定を受ける
申請後は、4週間ごとにハローワークへ行き「失業認定」を受けます。この際、求職活動実績(通常2回以上)が必要です。認定を受けた後、給付金が振り込まれます。
よくあるトラブルと間違えやすいポイント
離職票の記載内容が会社都合ではなく、自己都合になっている
会社側が意図的に「自己都合」にしているケースもあるため、納得できない場合はハローワークで異議を申し立てましょう。特に「更新の可能性があったのに打ち切られた」場合は、会社都合になる可能性が高いです。
退職後すぐにアルバイトを始めると、給付制限がかかる場合がある
失業中でも短時間のアルバイトは可能ですが、ハローワークへの報告が必要です。報告を怠ると不正受給とみなされ、給付の停止や返還を求められることもあるので注意が必要です。
申請が遅れると、もらえる給付金が減る
失業給付の申請には期限(退職翌日から1年以内)があります。申請が遅れると、その分の給付を受けられなくなるため、できるだけ早めにハローワークに行きましょう。
求職活動実績が足りず、給付が受けられない
失業給付を受けるには「求職活動実績」が必要です。面接を受けたり、ハローワークのセミナーに参加するなど、積極的に活動しましょう。
経験者から一言
契約満了で失業した場合、会社都合になるか自己都合になるかで給付の条件が大きく変わるため、まずは自分のケースがどちらに当てはまるのかを確認することが大切です。特に離職票の記載は要チェックで、納得できなければハローワークに相談しましょう。
また、失業給付を受けるためには、求職活動の記録をしっかり残すことや、アルバイトの報告を忘れないことも重要です。給付をスムーズに受け取るために、手続きの流れや注意点をしっかり押さえておきましょう。