退職後に確定申告が必要かどうかは、人によって異なります。退職金を受け取った場合や、副業収入がある場合など、条件によっては確定申告が必要になることがあります。ここでは、確定申告が必要なケースと、よくあるトラブル・間違えやすいポイントを解説します。
確定申告が必要なケース
退職後に再就職せず、年収が一定額を超える場合
会社員として働いている間は、会社が年末調整を行ってくれるため、確定申告は不要なことがほとんどです。しかし、退職後に再就職せず、一定の収入がある場合は、自分で確定申告をする必要があります。
確定申告が必要になる目安
- 給与所得のみの場合:年収が103万円以上(給与所得控除55万円+基礎控除48万円を超える場合)
- 年金収入がある場合:公的年金等の収入が一定額を超える場合(65歳未満なら60万円、65歳以上なら110万円を超えると申告義務が発生)
退職金を受け取ったが、税金の控除を受けられなかった場合
退職金には「退職所得控除」という特別な控除があり、会社が源泉徴収してくれることが多いですが、以下のケースでは確定申告が必要になることがあります。
-
退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合
→ 提出しないと、一律20.42%(所得税+復興特別所得税)が源泉徴収されるため、申告すれば税金が戻る可能性がある -
複数の会社から退職金を受け取った場合
→ 退職所得控除は合算計算されるため、申告しないと計算が不適切になる可能性がある
退職後に副業を始めた場合
副業収入が一定額を超えると、確定申告が必要になります。
-
副業の所得(収入-経費)が20万円を超える場合
→ フリーランス・アルバイト・せどり・ブログ収入などが対象 -
副業収入がある場合でも確定申告不要なケース
→ 副業の所得が20万円以下で、ほかに確定申告の義務がない場合
失業保険を受給した場合
失業保険(雇用保険の基本手当)は非課税のため、確定申告の対象にはなりません。しかし、失業保険をもらいながら副業で収入を得ていた場合は、副業分の確定申告が必要になることがあります。
よくあるトラブル・間違えやすいポイント
退職金をもらったのに還付申告をしなかった
「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかった場合、不要な税金を多く払っている可能性があります。申告すれば、還付金を受け取れることもあるので、必ず確認しましょう。
失業保険と副業の関係を誤解していた
失業保険をもらいながら副業をしている場合、収入によっては失業保険が減額・停止される可能性があります。確定申告とは直接関係ありませんが、失業保険の不正受給とみなされるケースもあるため注意が必要です。
ふるさと納税のワンストップ特例を適用したのに確定申告を忘れた
退職前にふるさと納税のワンストップ特例を利用した人は、確定申告が不要なはずですが、退職後に確定申告が必要な状況になった場合、ワンストップ特例は無効になります。確定申告を行わないと、寄付金控除が適用されず、節税できないことになります。
確定申告を忘れて延滞税が発生
確定申告をしなかった場合、本来払うべき税金に加えて延滞税や無申告加算税が発生することがあります。特に副業をしている人は、申告漏れがないよう注意しましょう。
まとめ
退職後は、会社に任せていた年末調整がなくなるため、自分で税金の管理をする必要が出てきます。
特に気をつけるべきポイントは以下の3つです。
-
退職金を受け取った場合、申告が必要か確認する
- 「退職所得の受給に関する申告書」を出さなかった場合は、還付申告の可能性あり
-
副業を始めたら20万円の壁を意識する
- 所得が20万円を超えたら確定申告が必要
-
失業保険と副業の関係を理解する
- 副業収入があると失業保険の給付額に影響する可能性あり
退職後は収入が不安定になることも多いため、税金や社会保険の手続きをしっかり理解して、損をしないようにしましょう。「知らなかった…」では済まされないケースもあるので、疑問があれば税務署や専門家に相談するのがおすすめです!