失業保険と扶養は関係があるのでしょうか。この問題は少し難しいので、しっかり把握している人は少ないかもしれません。
扶養には2種類あります
健康保険の扶養と税法上の扶養の2種類があります。
健康保険の扶養では、扶養に入ることによって保険料の支払いを免れることができます。税法上の扶養では税額が減額されるというメリットがあります。
扶養のメリットを享受するためには、扶養される人(被扶養者)の収入に制限が設けられています。
健康保険の扶養の場合では、被扶養者が扶養に入る時点での収入見込み額を申告する必要があるのです。この収入見込み額には失業保険の受給額も含まれます。つまり、失業保険の受給額が多くなると、扶養に入るための収入制限を超えてしまって、扶養に入れないという事態も起こりえるのです。
ここで、健康保険の扶養に入るための被扶養者の収入制限は、現時点から将来に向かっての収入見込みが130万円未満でなければなりません。この収入見込み額には支給された通勤の交通費・失業保険の受給額も含まれるのです。
年間130万円の収入制限を日額に換算すると、3,612円になります。失業保険の基本手当の日額が3,612円以上になる場合でしたら、健康保険の扶養に入れないということになります。
同様に、税法上の扶養は年収103万円が収入制限になっています。健康保険の扶養よりも、さらに条件が厳しくなっています。
退職後に扶養に入るための必要書類
退職後に健康保険の扶養に入るために必要な書類を以下となります。
・扶養異動届:手続きの申し込み用紙
・退職日のわかる書類:退職証明書や退職理由証明書、離職票
・失業保険をもらうのかどうかが分かる資料:雇用保険受給資格者証
・マイナンバー(個人番号)
・本人確認資料(運転免許証やパスポートなど)
・国民年金の扶養に入る場合には、基礎年金番号
ここで重要なのは、配偶者の扶養に入る場合、国民年金の扶養にも入れるということです。
年金の扶養に入ると、国民年金保険料の支払いが免除されます。
退職して失業保険を申請したら扶養に入るようにしましょう
扶養に入るための手続きは、会社によっては面倒な書類の提出を求められるところもあります。
それでも、失業保険の給付制限期間があり、配偶者などの扶養できる人がいる場合には迷わず扶養に入るの手続きをするのが得策です。
その理由は、失業保険が支給されるまでの3ヶ月間でも扶養に入ることができれば、国民健康保険や国民年金に入って保険料を支払うよりも、支払額をかなり節約できることになるからです。
失業保険をもらい始めたら扶養から外れましょう
失業保険の受け取りが始まったら、健康保険の扶養から外れる手続きが必要となります。
扶養に入るときに、雇用保険受給資格者証の写しを提出していと、会社側から扶養を外れるための手続きを促す場合もあります。会社もできるだけ扶養を減らしたいということですね。
重要な注意点があります。扶養から外れた場合、国民健康保険への切り替えを忘れないようにしましょう。国民健康保険への切り替えをしないと、無保険状態になってしまいます。
万が一、無保険状態のときに事故やケガで障害が発生した場合、年金の保険料を払っていないので、「障害年金」の受給要件にも問題が発生する恐れがあります。ですので、国民健康保険への切り替えは忘れないようにしましょう。
マイナンバー導入の影響
制度上は間違ったやり方ですが、今までは失業保険を制限以上に受給しているのに健康保険の扶養に入いっているという人が現実には多数います。
以前のマイナンバーがないときでしたら、失業保険は非課税であるので、役所などでは把握できなかったので、このような実態がありました。
しかし、マイナンバー制度がはじまって、失業手当が支払われていることが役所で把握できるようになった場合、このようなやり方は役所に見つかってしまうでしょう。ズルは禁物です。