退職届を書くとき、多くの人が「一身上の都合により退職いたします」と記載します。これは一般的な表現ですが、実際にどのような意味を持ち、どのように使うのが正しいのでしょうか?本記事では、「一身上の都合」の正しい使い方や、間違えやすいポイント、退職時のトラブルを避けるための注意点について詳しく解説します。
「一身上の都合」とは?
「一身上の都合」とは、個人的な事情による退職を指す言葉です。法律的な意味では、「会社都合ではなく、労働者本人の意思による退職」ということになります。
この表現を使うことで、退職理由を詳細に説明する必要がなくなるため、円満退職を目指す際に便利です。特に退職届では「一身上の都合」と書いておけば、退職理由を深く追求されることが少なくなります。
退職届における「一身上の都合」の正しい使い方
退職届の基本フォーマット
退職届には、以下のような形で「一身上の都合」を使います。
【退職届の記載例】
退職届
私儀
このたび、一身上の都合により、〇〇年〇月〇日をもって退職いたします。
なお、業務の引継ぎ等につきましては、最善を尽くす所存です。
〇〇年〇月〇日
氏名:〇〇〇〇(署名)
会社名:〇〇株式会社
代表取締役 〇〇〇〇 殿
「一身上の都合」を使う際のポイント
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「退職願」ではなく「退職届」に書く
- 退職願は「退職したい」という願いを伝える書類であり、会社の承認を待つもの。一方、退職届は「退職することが決定している」ことを通知するものです。
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退職理由を詳しく書かない
- 「家庭の事情により」「健康上の理由で」などの詳細を書くと、会社側から質問を受けたり、退職を引き止められたりする可能性があります。
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退職日は会社の就業規則を確認
- 退職希望日の〇〇日前までに提出する必要があるか、就業規則をチェックしましょう。
「一身上の都合」を使う際のよくあるトラブルと注意点
会社から「自己都合退職」に変更してほしいと言われる
退職理由を「会社都合」にすると、会社側にとってデメリット(失業保険の負担増など)があるため、稀に「一身上の都合に変更してくれ」と言われることがあります。
対策
- 会社都合退職のメリット(失業保険の待機期間短縮など)があるため、変更するかどうか慎重に判断しましょう。
- 書類にサインする前に、労働基準監督署やハローワークに相談するのも有効です。
「一身上の都合」を理由に退職を拒否される
「業務の都合上、今は辞められない」と言われることがあります。しかし、労働基準法上、労働者には退職の自由があります。
対策
- 就業規則に基づき、退職届を適切なタイミングで提出する。
- 退職を引き止められても、書面で通知し、会社に証拠を残す。
- 退職代行サービスを利用するのも一つの方法。
退職後のトラブルを防ぐための注意点
- 有給休暇の消化について、事前に相談する。
- 退職金の有無を確認し、手続きを進める。
- 退職後に必要な手続き(健康保険、年金、失業保険)をチェックする。
「一身上の都合」を正しく使い、スムーズに退職するために
退職届に「一身上の都合」と記載するのは、一般的かつ無難な方法です。しかし、退職時には思わぬトラブルが発生することもあります。私自身も退職時に「業務の都合で辞められない」と引き止められましたが、書面でしっかり意思を伝え、冷静に対応することで無事退職できました。
スムーズに退職するためのポイント
- 退職の意志は書面で伝える(口頭のみはNG)
- 退職日までのスケジュールを確認する(引き継ぎを考慮)
- 有給消化や退職金の手続きを忘れずに
退職は人生の転機のひとつですが、焦らず計画的に進めることが大切です。「一身上の都合」という言葉を上手に使い、トラブルなく円満退職を目指しましょう!