メンタル不調が原因で退職を考えている人は少なくありません。しかし、会社への伝え方を間違えると、トラブルに発展したり、必要なサポートを受けられなかったりすることがあります。ここでは、スムーズに退職するための伝え方や注意点を詳しく解説します。
メンタル不調による退職を伝える際のポイント
退職理由をどの程度伝えるべきか?
メンタル不調が原因で退職する場合、「どこまで正直に話すべきか?」と悩む人が多いです。基本的には以下のどちらかの方法を選ぶのが一般的です。
1.具体的な理由を伝える(例:うつ病、適応障害)
- メリット:理解が得られやすく、休職や配置転換の提案を受けられる可能性がある
- デメリット:必要以上にプライバシーをさらすことになり、周囲の目が気になる場合がある
2.一般的な表現で伝える(例:「体調不良のため」「健康上の理由」)
- メリット:詳細を話さずに済み、精神的な負担が少ない
- デメリット:上司によっては「もう少し頑張れないか?」と引き止められる可能性がある
伝える内容は、職場の雰囲気や自分の心の負担を考えて選ぶことが大切です。
退職を伝えるタイミング
上司にいつ話すべきか?
退職を決意したら、基本的には1〜2か月前を目安に伝えるのが一般的です。ただし、メンタル不調がひどい場合は、できるだけ早めに相談するのがよいでしょう。
- 余裕がある場合:通常の退職と同じく1〜2か月前に伝える
- すぐにでも辞めたい場合:退職代行や医師の診断書を活用し、即時退職の交渉をする
メンタル不調が深刻で働くのが難しい場合は、退職ではなく休職を選ぶという選択肢もあります。
退職の伝え方(具体例)
上司への伝え方(例文付き)
退職の意思を伝えるときは、できるだけシンプルに伝えるのがポイントです。
1.体調不良を理由にする場合
「体調不良が続いており、業務に支障が出ているため、退職を決意しました。申し訳ありませんが、〇月〇日をもって退職させていただきたいと考えています。」
2.医師の診断書を提出する場合
「医師から、現在の環境では体調が改善しにくいと診断されました。回復に専念するため、退職を決めました。」
3.休職を提案されたときの対応
「休職という選択肢もあるかと思いますが、現状では復帰の見通しが立たず、会社にご迷惑をおかけする可能性が高いため、退職させていただきたいと考えています。」
無理に長く説明しようとすると、かえって負担が増えるため、シンプルかつ端的に伝えることを意識しましょう。
よくあるトラブルと対処法
退職を引き止められる
「もう少し休んで考えたら?」「部署を変えて対応するのはどう?」と引き止められることがあります。
- 対応策:「もう気持ちは固まっています」と伝え、繰り返し退職の意思を明確にする
退職を拒否される
「今辞められたら困る」「後任が決まるまで待ってくれ」と言われるケースも。
- 対応策:「法律上、退職の意思を伝えてから2週間で辞めることが可能」と知っておく(民法627条)
- 難しい場合:退職代行サービスを利用する
退職後の手続きがわからない
- 健康保険:退職後は「任意継続」「国民健康保険」のどちらかを選ぶ
- 失業保険:メンタル不調による退職なら「特定理由離職者」として、自己都合退職でも失業保険の給付が早まる可能性がある
退職をスムーズに進めるための注意点
- 退職前に有給休暇を消化できるか確認する
- 会社の貸与物(PC、制服、社用携帯など)は期日までに返却する
- 退職後の生活費を計算し、必要な資金を確保しておく
- 精神的に負担が大きいなら、退職代行の活用も検討する
まとめ:経験者から一言
メンタル不調での退職は、誰にとっても大きな決断です。しかし、自分の心と体を守ることが最優先であり、無理に続けることで症状が悪化する可能性もあります。
実際にメンタル不調で退職した経験から言えるのは、「最初に勇気を出して伝えてしまえば、その後の手続きは意外とスムーズに進む」ということです。
退職を決断するのは不安も大きいですが、今の状況が辛いなら、自分の未来を優先することが大切です。退職後の生活を見据えて、必要な準備をしながら、少しでもストレスを減らして退職を進めましょう。