退職後に収入がなくなると、奨学金の返済が大きな負担になります。しかし、返済を延滞すると信用情報に傷がついたり、延滞金が発生したりと、さらなるリスクを抱えることになります。そこで、無収入でも延滞せずに済む方法を詳しく解説します。
返済が厳しいと感じたらすぐにすべきこと
日本学生支援機構(JASSO)に相談する
JASSOの奨学金を利用している場合、返済が厳しくなった時点で速やかに相談することが重要です。電話やオンラインで手続きができるため、早めに問い合わせましょう。
収支を見直し、返済計画を立てる
退職後は収入が減るため、まずは家計を見直し、返済可能かどうかを確認しましょう。固定費の削減や、収入の確保についても検討することが必要です。
返済を延滞しないための具体的な対策
返還期限猶予制度を利用する
JASSOの奨学金には「返還期限猶予」という制度があり、失業・病気などの理由で返済が困難な場合、最長10年間返済を猶予できます。
申請の流れ
- 必要書類(離職票・雇用保険受給資格者証など)を準備する
- JASSOの公式サイトから申請書をダウンロード
- 必要事項を記入し、郵送またはオンラインで提出
審査に通れば、猶予期間中は利息も発生しない(第一種奨学金の場合)ため、早めに申請しましょう。
一時的な減額返還制度を利用する
「返済を完全に止めるのは不安だけど、今の額は厳しい…」という場合は、減額返還制度が役立ちます。この制度では、通常の返済額を半額にすることが可能で、最長15年まで延長できます。
メリット
- 延滞扱いにならない
- 信用情報に影響しない
- 再就職後に通常の返済額へ戻せる
デメリット
- 返済期間が長くなり、トータルの負担が増える
収入の見通しが立たない場合は、まず「返還期限猶予」を申請し、少し余裕が出てきたら「減額返還」に切り替えるのが効果的です。
金融機関のリスケジュールを活用する
もし、日本政策金融公庫などの奨学金を利用している場合は、金融機関に相談すると、リスケジュール(返済計画の変更)ができることがあります。
相談時のポイント
- 具体的な理由(退職・収入減など)を説明する
- いつ頃から支払いを再開できそうか伝える
- 一時的に金利のみの支払いへ変更できないか相談する
柔軟に対応してもらえる場合もあるので、躊躇せずに連絡しましょう。
延滞してしまった場合の対処法
信用情報への影響を最小限に抑える
奨学金の返済を3ヶ月以上滞納すると、信用情報機関(CICなど)に「異動情報(いわゆるブラックリスト)」として登録される可能性があります。これにより、クレジットカードの審査や住宅ローンの借入が難しくなるため、延滞する前に対策を講じることが重要です。
もし、すでに延滞してしまった場合は、以下の手順で対応しましょう。
- JASSOや金融機関にすぐ連絡する(誠実な対応が重要)
- 少額でも返済する(全額でなくても、少しずつ返す意思を示す)
- 分割払いの交渉をする(無理のない返済プランを提案する)
長期間の滞納は「給与の差し押さえ」などの法的措置に発展する可能性もあるため、できるだけ早く行動を起こしましょう。
よくあるトラブル・間違えやすいポイント
退職後の住所変更・連絡先変更を放置する
奨学金の返済が遅れると、JASSOや金融機関から連絡が来ますが、住所変更をしていないと督促状が届かず、延滞が悪化することがあります。転職活動中でも必ず住所変更を届け出ましょう。
「いつか払えばいい」と思って放置する
「少しの延滞なら大丈夫」と思っていると、延滞金が積み重なり、元本以上の負担になることもあります。少額でもよいので、早めに相談し、何らかの対策を取ることが大切です。
家族に相談せずに一人で抱え込む
奨学金の返済について「親には迷惑をかけたくない」と思うかもしれませんが、無理に一人で抱え込むと状況が悪化します。親が保証人になっている場合もあるため、早めに状況を共有し、解決策を一緒に考えるのがベストです。
経験者から一言
実際に退職後の奨学金返済に悩んだ経験から言えるのは、「とにかく早めに相談すること」が一番重要だということです。
- 返済が厳しいなら、まずJASSOに相談する
- 「返還期限猶予」や「減額返還」などの制度を活用する
- 延滞する前に、少額でも返済する意思を示す
- 住所変更や連絡先の更新を忘れずに行う
- 一人で抱え込まず、家族や専門機関に相談する
奨学金は、きちんと対策をすれば延滞を回避できる仕組みがあります。焦らず、適切な対応をとることで、将来の信用情報や生活に悪影響を及ぼさないようにしましょう。